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2007.09.14

チャップリン映画、格安DVD販売差し止め・東京地裁(1)

昨年、当ブログで、映画「ローマの休日」の格安DVDを販売する業者とその著作者との間の紛争を取り上げたことがあります。

ローマの休日(2006年7月12日)
「ローマの休日」著作権訴訟 映画会社が抗告取り下げ(2006年10月14日)

著作権の存続期間が切れた映画を格安DVDとして販売する業者と、著作権者との間の攻防は、まだまだ続いているようです。
今回問題となった映画は、有名なチャップリンの映画について。
チャップリン映画、格安DVD販売差し止め・東京地裁
格安DVD販売でチャップリン映画9作品の著作権を侵害されたとして、著作権を保有する外国法人が販売差し止めと約9400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、東京のDVD製造会社2社に対し、販売差し止めと約1000万円の支払いを命じた。製造会社側は控訴する方針。
差し止めが認められたのは「独裁者」「モダン・タイムス」「街の灯」など、1919―52年に公表された作品。2社が複製したDVDは販売会社を通じて、全国の書店などで1枚500円で販売されている。
清水節裁判長は「旧著作権法が適用され、著作者のチャップリンが亡くなった1977年から死後38年となる2015年末まで保護期間は続く」と判断。そのうえで「殺人狂時代」(47年)「ライムライト」(52年)の2作品についてはより保護期間の長い現行法を適用、保護期間は2017年、22年までと認めた。

ここで注意したいのは、「ローマの休日」については、格安DVDの製造販売業者の言い分が裁判所で認められましたが、このチャップリンの映画については、著作権者側の言い分が認められている点です。製造会社側は控訴する方針だそうなので、高等裁判所がどう判断するか、まだ未確定な状態ではありますが。

で、こういった判断の違いが出てくるのはなぜなんでしょうか?
今回の東京地裁の判決を読んでみました。(ここからは、かなり込み入った話になっております。ご注意くださいw)

  • 書誌事項
  • まずはこの争いの書誌的事項を確認しておきましょう。

    • 原告

    • この訴訟を提起した原告は、リヒテンシュタイン公国の法人であるロイ・エクスポート・カンパニー・エスタブリッシュメントという会社のようです。聞き覚えのない国ですが、この国はスイスとオーストリアに囲まれた小さな国です。そして、この会社は、チャップリンが同国において設立し、チャップリンが監督等をつとめた映画の著作権を保有し管理している法人とのこと。

    • 被告

    • 訴訟を提起された被告は、有限会社アートステーション及び株式会社コスモ・コーディネートです。いずれも東京の会社のようですね。

    • 問題となった主な映画

      • 巴里の女性(1923年公表)
      • チャップリンの黄金狂時代(1925年公表)
      • 街の灯(1931年公表)
      • モダン・タイムス(1936年公表)
      • 独裁者(1940年公表)
      • チャップリンの殺人狂時代(1947年公表)
      • ライムライト(1952年公表)

  • 判決

  • 被告会社に対して、1)上記映画のDVD商品の複製、頒布をしてはならない旨、2)DVDの在庫品及びデジタルリニアテープの廃棄、3)1053万8000円+利息(年5分)の支払が命じられました

で、理屈についてです。

まず前提として、著作権法が1970年(昭和45年)を境に、その内容に大きな違いがある点です。ここでは昭和45年以前の著作権法を「旧法」とし、それ以後の著作権法を単に「著作権法」とします。

  • 著作権の存続期間内の法改正

  • 著作権は、一般に創作(又は公表)から一定の期間存続するとされています。
    もっとも、著作権を保護するための法律である著作権法が昭和45年を境に大きく変わってしまっていますから、その時点をまたいで存続する著作権については、調整が必要となってきます。その調整をするのが著作権法附則7条です。

    同条によると、「旧法による著作権の存続期間が著作権法の規定による期間より長いときは、なお従前の例(旧法の規定)による」とされています。ですから、旧法の計算方法に従った場合の存続期間と、著作権法の計算方法に従った場合の存続期間を比較し、存続期間の長い方でいきましょうということですね。

  • 旧法による存続期間

  • 旧法では、映画の著作物は「活動写真術又はこれと類似の方法により製作した著作物」として、独創性を有するものは、旧法3条or6条+9条が適用されるとしているようです(旧法22条ノ3)。

    そして、旧法3条が原則を定め、著作者の死亡時期を起算点として一定期間存続するとしており、旧法6条は、著作の名義がなく、著作者の死亡や死亡時期が観念できない場合の規定であって、団体の著作名義で発行又は興行された著作物について定めています。つまり、個人名義の場合は旧法3条、団体名義で発行等されたため著作者の死亡時期がわからない場合は旧法6条でいくということでしょう。

    そして、本件では、各映画のクレジットを見ると、チャップリンが著作者であることが示されているとして、旧法3条でいくんだと判示されています(6条の適用はない)。

    旧法3条及び52条1項では、著作物の存続期間について、著作者の生存している間及びその死後38年間と定められています。
    チャップリンが死亡した日は、1977年(昭和52年)12月25日なので、その存続期間はチャップリンの生存している間+1978年1月1日から38年の2015年(平成27年)12月31日までとなると。


したがって、旧法に基づく本件各映画の著作権は一律2015年(平成27年)12月31日まで存続することになります。

非常に長くなったので、チャップリン映画、格安DVD販売差し止め・東京地裁(2)に続きます。

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フォレスト・ガンプ | 格安 DVDの思い入れ at 2007.10.02 08:46
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