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2007.10.29

電池工場火災で松下に損害賠償請求、ペンタックスが検討・新製品発売遅れで

数十年前までであれば、契約上の義務の不履行があった場合でも、日本の企業間で損害賠償だなんだと騒ぎ立てることは少なかったように思います。
ところが最近は、契約上の債務不履行が原因で、企業間で損害賠償請求がなされる例が散見されます。標題の事例もそのひとつです。

電池工場火災で松下に損害賠償請求、ペンタックスが検討・新製品発売遅れで
松下電池工業の本社工場(大阪府守口市)で9月30日に起きた火災で損失を受けたとして、ペンタックスが松下側への損害賠償請求の検討に入ったことが28日、明らかになった。火災により、リチウムイオン電池の調達が間に合わず、デジタルカメラ新製品の発売を遅らせることになったとしている。請求額は今後詰めるが、工場の操業停止が損害賠償に発展するのは異例だ。(中略)
ペンタックスは24日、年末商戦に向けて11月上旬に予定していたコンパクトデジカメ「オプティオA40」の発売を来年2月上旬に延期すると発表した。同社によると、新製品の電源として松下のリチウムイオン電池を一括して購入する予定だったが、松下側の「生産再開のメドが立たない」(広報担当)という事情に対応、複数の取引先から別のリチウムイオン電池を調達することにした。
ペンタックスは今後、電池の仕様や本体の設計変更に伴って発生した費用をはじめ、最大のかき入れ時である年末商戦に新製品を投入できなかった逸失利益などの賠償を求める方向で調整を進めている。松下電池の工場火災で取引先への影響が表面化したのは初めて。(以下略)
CNET Japan 2007年10月29日


具体的な事情は不明ですが、おそらく松下電池工業とペンタックスとの間には、リチウムイオン電池の調達について、既に契約が締結されていたものと思われます。

契約上の義務が履行されなかった場合に債務不履行責任が発生するというのは、ビジネス法務の最も基本的な事項です。
この点は、以前に何度かご紹介したことのあるビジネス実務法務検定試験においても頻繁に出題されていますね。

債務不履行責任の内容は、損害賠償です(民法415条)。

具体的な損害賠償の範囲については、いろいろと分析することができますが、上記の事例に関連するものとしては、積極的損害と消極的損害の賠償が重要だと思われます。

積極的損害は、被害者が債務者の債務不履行に対応するために「現実に支出した金銭」です。上記の事例では、「電池の仕様や本体の設計変更に伴って発生した費用」が、この積極的損害の例といえます。このほかにも、ペンタックスがリチウムイオン電池を他の企業から、急遽調達しなければならなかったために余計に支払った費用があれば、これも積極的損害として損害賠償の対象になるでしょう。

これに対し、消極的損害というのは、もし仮に債務不履行がなければ被害者が利益を得られたはずなのに、債務不履行があったために得られなかった利益です。上記の事例では、「最大のかき入れ時である年末商戦に新製品を投入できなかった」ために、逃してしまった利益(逸失利益:いっしつりえき)が、この消極的損害の1つの例です。

松下電池工業とペンタックスとの間の契約に、債務不履行などが生じた場合の損害賠償の範囲についての定めがあるかどうかは不明です(通常は、このような損害賠償に関する条項があるはずですが)が、もし特別の定めがなかった場合には、民法416条に従って、松下電池工業は、ペンタックスに生じた積極的損害および消極的損害の双方につき、損害賠償をなす義務が生じます。

以上が債務不履行に基づく損害賠償に関する基本的な事項です。

日本の企業間で損害賠償請求がなされるようになってきた背景には、企業の経営者が株主を意識しているという事情があるんじゃないかと思います。
つまり、取引先の失態によって、自社が多大な損害を被ったのに、損害賠償請求などをせず放置すると、被害者側の企業における経営者が、その株主から責任を追及されることがあるんですね。いわゆる株主代表訴訟(会社法847条では、「責任追及等の訴え」などと呼びますが)によって、企業の経営者が会社に対して、その生じた損害を賠償しなければならなくなるんですね。
企業間取引を通じて生じた損害ですから、その額は、時として莫大な額になることがあります(数百億とか)。

このあたりの事情をふまえて、例えば営業担当者などは、よくよくこれまで取り交わした契約書などを見直してみるきっかけにするとよいかもしれません。また、法律に関する知識を少しでも身につけるとよいかもしれませんね(なかなか難しいですが)。


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