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2008.01.25

公取委、談合やカルテルの不服審判廃止・企業、直接裁判所に

独占禁止法の改正については、すでに2007年から公正取引委員会が様々な改正案を公表してきました。
2007年に公表された独占禁止法改正案のまとめについては、2008年独占禁止法改正のまとめを参照してください。

今日(2008年1月25日)、公正取引委員会が新たな改正の方向性を示したという報道がありました。
公取委、談合やカルテルの不服審判廃止・企業、直接裁判所に
公正取引委員会は、独占禁止法違反の行政処分の是非を公取委自らが判断する審判制度を大幅に見直す方針を固めた。談合やカルテルについては、不服審判制を廃止し、企業が直接裁判所に申し立てる制度にする。企業合併審査や不当廉売などについては、公取委が企業の主張を聞いてから処分内容を判断する「事前審判制度」に改める。審判制の撤廃を求める経済界などの意見を取り入れ、従来の方針を転換する。
公取委は今の通常国会に提出する予定の独禁法改正案に審判制度の改正を盛り込む方針だ。
NIKKEI NET2008年1月25日


公正取引委員会の不服審判制というのは、およそ次のような制度です。

独占禁止法に違反した事業者に対して、公正取引委員会が下した処分(排除措置命令、課徴金納付命令)にの是非について、公正取引委員会が審査をする制度(独占禁止法52条・53条)

これら審判手続について、ビジネス実務法務検定試験2級公式テキスト2007年版(P.362~P.363)には、次のように記載されています。
排除措置命令や課徴金納付命令などの処分に不服のある者から審判請求があった場合は、原則として審判手続が開始される(独占禁止法52条)。審判請求をした者は、審判手続においては「被審人」と呼ばれる。
審判請求を棄却する審決が出された場合には、被審人は、審決の効力が生じた日から30日以内に審決取消の訴えを東京高等裁判所に提起することができる(独占禁止法77条)。審決取消しの判決が確定した場合、公正取引委員会は、判決の趣旨に従って改めて審決をする。


おそらく行政処分を課す部署と不服審判を受ける部署というのは厳密に区分されているんでしょうけど、自分で下した処分を自分で審査するわけですから、少なくとも外部から見ればその判断の客観性に疑問を持ちますね。
もちろん、その不服審判の結果について、なお不服のある事業者は、その決定(審決)の取消しを求めて東京裁判所に訴訟を提起することができます(独占禁止法77条)。

とはいえ、処分された事業者としては、いったん公正取引委員会に審判請求しなければ訴訟を提起できないのでは、回りくどいとも考えるかも知れません。

現行法において、公正取引委員会の審決をショートカットして裁判所に訴訟を提起できないのは、原稿独占禁止法の次の条項があるからだと思われます。
独占禁止法77条3項
審判請求をすることができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

つまり、訴訟に先立って「審決」がなければならないと言うことでしょう。

但し、訴訟において争うことができるのは、なにも「審決」が違法であるということだけではありません。つまり、審決取消訴訟においては、審決自体の違法のほか、その審判の前に下された行政処分(排除措置命令および課徴金納付命令)の違法を理由として訴訟を提起することができます。

この点については、独占禁止法第2版(P.472)に次のように記載されています。

行政事件訴訟法10条2項において「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない」とする原処分主義の反対解釈として、審決取消訴訟においては、審決と排除措置命令・課徴金納付命令のいずれの違法も理由として争いうるものである。


行政事件訴訟というのは、行政庁の下した処分の違法性などを争う裁判です。
行政事件に関する訴訟については、大原則を行政事件訴訟法という法律が定めています。

そして、行政事件訴訟法10条2項が定めているのは要するに次のような内容です。

処分の違法性を争う訴訟と裁決の違法性を争う訴訟のどちらも提起できる場合において、裁決の違法性を争う訴訟が提起されたときは、その訴訟において処分の違法性を求めることはできない。

つまり、どっちも争えるのに、あえて裁決の違法性を問題にした以上は、その訴訟の中で処分の取消は求められないと言うことでしょうね。

これは、逆に言えば、どちらかしか争えない場合であれば、訴訟の中で処分の違法性も裁決の違法性も争うことができると解釈することができますね?
上記「独占禁止法」という書籍から引用した記述はそのような趣旨を表しています。

以上が、現行の独占禁止法のルールです。

冒頭に紹介した報道は、このような独占禁止法のルールを改正して、談合やカルテル(不当な取引制限)については、事業者が直接裁判所に申し立てる制度とし、不当廉売(不公正な取引方法)については、事前審判制度にするというものです。

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